西元棋牌

Digitalizationの取り組み

当社グループの「現場」が直面するさまざまな課題をデジタル技術や収集したデータ分析により解決し、新たな価値を創出するDigitalizationの取り組みを推進しています。
自ら創意工夫して行動を起こす現場の担当者と、当社グループの四つのラボ(株)MTI、(株)日本海洋科学、(株)NYK Business Systems、およびスタートアップ企業のSymphony Creative Solutions Pte. Ltd. がタッグを組み、社外パートナーと新たな価値を共創しています。

船舶パフォーマンスマネジメントシステム「SIMS」

2008年から運用を開始したSIMS(Ship Information Management System)の導入により、毎時の詳細な運航状態や燃費に関するデータを船陸間でタイムリーに共有可能となりました。情報の見える化を図り、本船乗組員と船主、運航担当者、船舶管理会社間の密な情報共有により、最適経済運航・省エネ運航を実現しています。当社グループが運航する190隻(2019年3月末時点)に搭載しています。

【船の現場】船内作業を効率化「電子M0チェックシステム」

夜間の機関室無人運転のために、船内機器の運転状態を確認・記録する「M0チェック」。従来紙に記入していた2,000におよぶチェック項目を電子タブレット入力に変更することで、異常値の発見や他船とのデータ共有など、乗組員の負担軽減につながっています。また、検知した異常値を陸上の担当者へ通知し、機器異常に早期に対応するためのシステム開発を進めています。

【船の現場】航海計画の最適化・立案の効率化に加え、非常時対応も可能「船舶運航支援装置J-Marine NeCST」

当社と(株)MTIは、日本無線(株)と共同で、電子海図を含む航海情報を大型ディスプレイ上で管理・共有する運航支援装置「J-Marine NeCST(ネクスト)」を開発しました。当社グループが長年培ってきた船舶運航管理の知見とメーカーの技術力を融合し、他社では類のない装置です。同装置は、電子海図上に情報の手書き入力を可能にするだけでなく、作成した航路情報とともに外航海運に従事する大型貨物船が搭載を義務付けられている電子海図情報表示装置(ECDIS)と同期ができるなど操作性・機能性に優れています。さらに、気象・海象情報などを重ね合わせて表示させることができるため、航海計画立案の効率化と最適化を実現します。さらに、船舶特有の情報がデジタル化されるため、船陸間や船舶間での情報共有が可能となり、船上・陸上での作業効率化も期待できます。 2018年1月には、同装置を当社本店(東京都千代田区)にある危機管理室に試験導入しました。陸上オフィス側で運航データをタイムリーに取得することにより、素早い危機対応と質の高い安全管理体制を整えることが可能となりました。

【船の現場】乗組員の負担を軽減「きらりNINJA」

「きらりNINJA」(上)で撮影した燃焼室内部

西元棋牌当社および(株)MTIは、ダイトエレクトロン(株)と共同で、船舶エンジンの燃焼室内部を自動撮影する装置「きらりNINJA(特許出願中)」を開発しました。これまで燃焼室を点検する際には、エンジンを停止し、乗組員が室内に入って直接目視する必要がありましたが、燃焼室内部は暗いために隅々まで見えづらく、さらに高温環境での長時間作業となるため乗組員にとって大変な負担となっていました。本装置はパノラマカメラと照明で構成されており、燃焼室のピストン上部に本装置を置くだけで、ピストンの上下1往復(約10分)間に燃焼室内部360度の自動撮影が可能となり、乗組員の作業負担が大幅に軽減します。また、撮影した画像により、燃焼室内部の状態を詳細にわたり把握することが可能となるため、機関事故を未然に防ぐとともにメンテナンスコストの削減にも寄与しています。2018年には、小型シリンダー内部も撮影できるよう「きらりNINJA」を小型化し、操作性・利便性をさらに高める改良を行いました。

【船の現場】船陸間の船舶管理業務の共通プラットフォーム「NiBiKi」

当社グループは、船舶管理業務の共通プラットフォームである「NiBiKi(ニビキ)」システムを開発し、2018年12月に運用を開始しました。船員は安全管理マニュアルに基づき、安全管理に関する事項を船舶管理会社に対して報告する必要があります。さまざまな報告書や申請書を作成し、船舶管理会社に対して電子メールで承認依頼を行い、承認された書類を印刷し船上で保管するという業務フローがあり、多大な業務負荷がかかっていました。また、報告された内容は、各船・管理会社それぞれが管理し、内容そのものを分析するなどの活用が十分になされていませんでした。
こうした課題を踏まえて開発したのが、NiBiKiシステムです。安全管理マニュアルの書式や申請・承認のワークフローを電子システム化し、船員はガイドに従って所定のフォームに入力するだけで、短時間かつ正確な報告・承認依頼を行うことができます。さらに、NiBiKiシステムに蓄積された情報を運航会社・船舶管理会社間で共有し、ビッグデータとして質の高い解析をすることによって、本来求めるべき安全や船員の健康などの活動につなげることが可能となります。今後は、船員の教育や訓練なども組み込み、より包括的なシステムの構築とデータのさらなる活用を計画しています。

船舶管理業務における課題 NiKiBiの導入効果

【船の現場】音を活用した状態診断ツール「Kirari MUSE」

当社および(株)MTIは、エンジンプラント機器の稼働音を採取・見える化する状態診断ツール「Kirari MUSE(きらりミューズ)」を開発しました。機器の状態を診断する際、その稼動音は重要な判断材料の一つとなりますが、耳慣れない音を他者に正確に伝えることが非常に難しいという課題がありました。「Kirari MUSE」の開発により、音の共有が可能となり、さらにデータの蓄積により日々少しずつ変化する微細な音の違いも把握できるようになります。また、異常を示す稼動音を聴き分ける作業では、乗組員の経験や感覚といった乗組員個人の技量に頼るところがありましたが、長年の運航経験をもつ船会社ならではの知見をアプリケーション化することで、異常・故障の早期発見につながる高精度な状態診断が可能となります。当社運航船での試験運用を開始しています。

【船の現場】安全な操船を支援「i.Master」

船舶の運航で緊張を強いられる場面の一つに離着岸作業があります。当社は、岸壁への接触事故を防ぐために、持ち運び型電子海図ソフトウェア「i.Master」を導入しています。電子タブレットの「i.Master」は、本船の針路や離着岸速度、他船舶の自動船舶識別情報など、船舶自体の挙動とそれを取り巻く状況を俯瞰的に把握が可能で、ブリッジ外でも常にモニターできるシステムです。岸壁接触事故が起きれば、長期間の停船を余儀なくされる場合もあり、お客さまにご迷惑をおかけし、信頼を損ないかねません。「i.Master」を有効活用し、離着岸作業におけるリスクの低減を図っています。

【船の現場】タンク内の液面を正確かつ簡易に計測「Honesty」

当社および(株)MTI、セムコ(株)は船舶に搭載されているタンク内の液面計測作業の効率化を可能にする、タンクサウンディング装置「Honesty(特許出願中)」を共同で開発しました。タンクサウンディングとは、船舶に搭載されているタンク内の液体の深さやタンク頂部から液面までの距離を計測することです。
本装置を使用することで、タンク内の液面計測作業を大幅に短縮することができます。また、燃料補油時に、燃料油に細かな気泡が混ざった状態で船舶に供給され、実際の量よりかさが増して見える状態を指すカプチーノバンカーにも対応します。センサーは液面上の泡に反応しないため、補油時にカプチーノバンカーが発生した場合でも実際の液位が計測され、正確な補油量の計測が可能です。燃料油だけでなく、潤滑油、バラスト水、船底に溜まっている水や油の混合された液体(ビルジ)など、無色透明の液体計測も可能です。さまざまな点で先進性がありながら、軽量で持ち運び自由なポータブル型で、動力には一般規格の電池を使用しており外部電源も不要と、高いユーザビリティも有しています。(一財)日本海事協会から検査の承認を取得しています。

【運航管理の現場】船の状況を随時把握「SIMS+LiVE」

ポータルサイト「LiVE」

船舶には操船や機関プラントの状態を把握するためのさまざまなセンサーが搭載されています。これらのデータを陸上と共有可能にしたのが「SIMS」であり、可視化を実現したポータルサイトが「LiVE」です。「LiVE」により、陸上の運航や船舶管理を行う担当者がいち早く状況を把握できるようになり、最適運航やトラブルの早期発見などに活用しています。また、「SIMS」で蓄積したデータの解析による研究開発も進めています。

【物流・ターミナルの現場】複雑化する貨物の動きを一元管理「ICOターミナル」

無人ゲートシステム

完成車は、鉄道や車輛および船舶によりターミナルに搬出入されるため、緻密な入出庫管理が必要です。ベルギーのICOターミナルは、作業計画とオペレーションの最適化、顧客とEDI(Electronic Data Interchange)を介した事務の効率化、無人ゲートの運用など、業務を統合管理するシステム開発により、最先端のターミナル運営を実現しています。

【建造の現場】環境に優しい船をつくる「高効率なプロペラ設計」

模型プロペラの水槽試験(左)と実船観測(右)

当社は、(株)MTIおよびジャパン マリンユナイテッド(株)と共同で、実海域における船舶のプロペラの作動状況を計測するセンサーを開発しました。収集した実海域データを分析・活用することで、さらなる高効率を追求した新たなプロペラを設計。プロペラの燃費効率改善によりCO2排出量が約1.2%削減できる見込みです。

国交省プロジェクト「i-Shipping」に参画

海運業界に対するIoTなどを活用した先進安全船舶への期待が高まり、日本においても国土交通省が中心となったプロジェクト(海事産業の生産革命 "i-Shipping")で研究開発が進められています。当社および(株)MTIも、「機関プラント事故予防」「衝突防止と自律操船」など4件のプロジェクトに参画し、業界のさまざまなパートナーとともに技術開発を進めています。

海事産業のイノベーションを促進

安全かつ経済的で環境に優しい運航を実現させるためには、ビッグデータの基盤技術への投資や積極的な開発が欠かせません。当社グループは、船舶のIoTデータの安定的で効率的なプラットフォームの開発を進め、造船所や舶用機器メーカー、船級協会ほかさまざまなパートナーとデータを活用し、イノベーションの創出を目指した取り組みを推進しています。

船舶のサイバーリスク管理

IoTを使った有人の自動運航船の開発を進めるなか、船上でのサイバーセキュリティにも重点おいて安全性を確保する必要があります。航海計器類や機関制御機器類などのシステムが被害を受ければ安全航行を毀損する恐れがあるため、これらのシステムをいかに守るかがIoT化を進める鍵を握ると考えます。
船舶のサイバーリスク管理については、2017年6月の国際海事機関(IMO)の第98回海上安全委員会(MSC98)で「海事サイバーリスクマネジメントのガイドライン」が承認されており、2021年1月以降最初の年次検査までに船舶にサイバーセキュリティ対策の仕組みを導⼊し、船員や陸上要員の対応マニュアルも含めて整備しておく必要があります。ガイドラインを満たさない場合は、認証機関の適合証書を取得できず、国をまたいだ海運事業ができなくなる恐れがあります。

西元棋牌IMOは海事サイバーリスク管理の実施を“強く推奨”としているものの、海運業界では「事実上の義務化」と受け⽌め、当社グループでも積極的に準備を進めています。

<準備対応の流れ>

  1. 12016年4月~2019年3月 (一財)日本船舶技術研究協会(JSTRA)の海事サイバーセキュリティ検討委員への参加と調査。並びに、SMSマニュアルにおけるサイバーリスクマネジメントの対応準備
  2. 22018年4月~2019年3月 アメリカ船級協会(ABS)の任意認証基準に基づく船舶や船員に対するリスクアセスメントの実施
  3. 32019年4月 船舶にサイバーセキュリティ対策の仕組みを導入するため、SMSマニュアルの内容改訂作業に着手
  4. 42019年12月 SMSマニュアルの改訂作業完了
  5. 52019年12月 当社グループ会社のNYK LNGシップマネージメント社が、(一財)海事協会(Class NK)からサイバーセキュリティマネジメントシステムの任意認証を取得(同協会第一号案件)。
    今後も認証取得を進めると同時に、船員へのトレーニングについても準備を進めています。
  • SMSマニュアル
    安全管理システムマニュアル。事故を予防するために乗組員がとるべき行動の手順等を記載しているマニュアル。

また、ノルウェーの海事IT企業Dualog社と船舶向けサイバーリスク管理システムの開発に関するプロジェクト「Cepa Shield(セパ シールド)」を立ち上げました。
西元棋牌当社が運航管理する50隻の船舶にプロトタイプのシステムを搭載し、トライアルを行いながら、今後2年間をかけて製品化を目指します。